前の記事で、「介護申請は、まだ迷っている段階でも大丈夫」というお話をしました。
それでも、「実際の手続きが分からないと、不安は消えない」そう感じている方も多いと思います。
ここからは、介護保険の申請方法と流れを順番に説明します。
🔰 そもそも「介護保険の申請」って何のためにするの?
介護保険の申請とは、「今の生活でどれくらい介護が必要か」を市区町村に判断してもらい、サービスを使うための認定を受ける手続きです。

申請するとどうなるの?
申請をして「要介護(または要支援)」と認定されると、以下のようなメリットがあります。
- 費用の負担が軽い: 訪問介護やデイサービス、ベッドのレンタルなどが、原則1割〜3割の自己負担で利用できます。
- プロがつく: ケアマネジャーなどの専門家がつき、生活の相談に乗ってくれるようになります。
- 家族が楽になる: 介護のプロの手を借りることで、家族自身の時間や体力を守ることができます。
💡 ポイント 申請は「サービスを使うための第一歩」。まだ使うかわからない段階でも、「お守り」として申請だけしておくことも可能です。
✅ こんなサインがあったら申請のタイミング!
「まだ早いかな?」と思っても、以下のリストに当てはまる項目があれば、申請(または相談)をおすすめします。

いかがでしたか? 「あ、これ最近あったかも…」と思う項目が、一つでもあったでしょうか。
このリストは、決して「すぐに寝たきりになる」といった重い話ではなく、「今のうちに少しサポートがあると安心ですよ」という、体や生活からの「小さなサイン」を集めたものです。
ご家族だからこそ気づける、これらの変化。なぜ見逃してはいけないのか、それぞれの項目について少し詳しく見ていきましょう。
【1. 身体の変化】目に見える「できない」は、危険のサイン
ここは一番分かりやすい変化かもしれません。
「お風呂で背中が洗いにくそう」「ズボンの上げ下げに時間がかかっている」といった、日常動作のちょっとしたつまずき。ご本人が「年のせいだから大丈夫」と言っても、注意が必要です。
足腰の弱りは、転倒して骨折…という大きなケガに直結します。一度骨折して入院すると、そのまま寝たきりになってしまうケースも少なくありません。 また、「痩せてきた」「食事中によくむせる」というのは、低栄養や誤嚥(ごえん)の危険信号です。
「まだ歩けるから」と安心せず、安全に暮らすための環境を整えるタイミングが来ているのかもしれません。
【2. 日常生活の変化】「だらしない」ではなく、エネルギー不足かも
以前はきれいにしていた部屋が散らかっていたり、冷蔵庫から賞味期限切れの食品がたくさん出てきたり…。
きちんとしていた親御さんを知っているご家族ほど、「なんでこんなこともできないの!」「だらしない!」とイライラしてしまうかもしれません。
でも、これは「やる気がない」のではなく、年齢とともに脳の認知機能が低下したり、気力が衰えたりして、「やりたくても片付けるエネルギーが湧かない」状態なのかもしれません。薬の管理ミスや同じ話の繰り返しも、脳がSOSを出しているサインの可能性があります。
責めたりせずに、「生活を維持する手助けが必要な状態なんだ」と捉え方を変えてみましょう。
【3. 環境の変化】心と体がガクンと弱るタイミング
人の心と体は、環境が大きく変わるときに影響を受けやすいものです。
入院生活は、ベッドで寝ている時間が長いため、ご家族が思っている以上に体力を奪います。「退院したけれど、以前のようには動けない」というケースは非常に多いのです。
また、長年連れ添った配偶者を亡くしたショック(喪失感)は計り知れません。一人暮らしになり、会話が減り、食事も適当になってしまう…。こうした孤独や生活リズムの乱れは、心身が急激に弱るきっかけになりやすいのです。
このタイミングで、デイサービスなどで人と話す機会を持ったり、誰かの見守りが入ったりすることで、その後の生活が大きく変わります。
「まだ大丈夫」なうちにこそ、相談を
介護保険の申請は、「もう家族ではどうしようもない」と追い詰められてからするものだと思っていませんか?
実は、逆なんです。
今回挙げたような「小さなサイン」が出た段階で相談し、適切なサービス(例えば、転ばないように手すりを付けたり、週に1回リハビリに通ったり)を利用することで、現在の元気な状態を長く維持できる可能性が高まります。
相談は無料です。「こんなことで相談してもいいのかな?」と遠慮せず、「ちょっと気になることがあるんだけど…」という軽い気持ちで、お住まいの地域の「地域包括支援センター」や市役所に連絡してみてくださいね。

🏢 申請はどこで?誰ができる?
どこに行く?
お住まいの市区町村の**「介護保険課」または「地域包括支援センター」**です。
誰が行く?
ご本人だけでなく、ご家族が代理で行くことも可能です。 もし家族も遠方で動けない場合は、地域包括支援センターや民生委員、入院中であれば病院のソーシャルワーカーに相談すれば、代行してもらえることもあります。
📝 窓口に行くときの持ち物リスト
これらを準備していくと、一度でスムーズに済みます。
- 申請書(窓口にあります/ネットでダウンロードも可)
- 介護保険被保険者証(65歳以上の方に郵送されています。ピンクやオレンジ・緑色などの保険証です)
- ※見当たらない場合は、窓口で「紛失しました」と伝えれば大丈夫です。
- 申請に行く人の身分証明書(運転免許証など)
- マイナンバーカード(本人・申請者)
- かかりつけ医の情報(氏名、病院名、所在地がわかる診察券など)
⚠️ とても重要!「かかりつけ医」について 申請書には「主治医の氏名・病院名」を書く欄が必ずあります。長い間受診していない場合は、申請前に一度受診し、「介護保険の申請をしようと思います」と先生に伝えておくとスムーズです。
申請から認定までの流れをやさしく解説
申請から結果が出るまでは、おおよそ1ヶ月程度かかります。

⚠️ ケアマネ直伝!「認定調査」を受ける時のコツ
調査員が来た際、ご本人はつい「よそいきの顔」をしてしまい、「できます!」「大丈夫です!」と答えてしまいがちです。これだと、実際より軽く判定されてしまい、必要なサービスが受けられないことがあります。
家族が同席して、以下のことを「こっそり」または「補足として」伝えてください。
- 「『できる』と言っていますが、昨日は転びそうになりました」
- 「着替えはできますが、30分以上かかります」
- 「一人でトイレに行けますが、失敗することもあります」
💡 成功の秘訣 困っていること、できないことをメモにまとめておき、調査員に渡すのも非常に有効です。恥ずかしがらず、「ありのまま」を伝えることが自分たちを助けることになります。

ケアマネの立場から言うと、「調査員に普段の様子を正直に伝える」ことがとても大切です。「できる」と無理に言わず、実際の困りごとをそのまま話すのがポイントです。
ここまで読んでいただいて、「申請の流れは分かったけれど、
実際の生活はどう整えたらいいんだろう?」と感じた方もいるかもしれません。
介護保険の申請はゴールではなく、**「安心して暮らす準備のスタート」**です。
実際に多いご相談が、
・家の中で転びそうで不安
・夜のトイレが心配
・ベッド周りをどう整えたらいいかわからない
というものです。
そうした不安については、別の記事で 「家の中の安全対策」 をまとめています。
結果が出たらどうする?【ここからがスタート】
結果通知には「要支援1・2」または「要介護1〜5」、あるいは「非該当(自立)」と書かれています。
パターンA:要支援1〜2の場合
- 相談先: 地域包括支援センター
- サービス: 介護予防サービス(今の機能を維持するための運動や、簡単な生活支援など)が中心です。
パターンB:要介護1〜5の場合
- 相談先: 居宅介護支援事業所(ケアマネジャーのいる事業所)
- サービス: 本格的な介護サービス(ヘルパー、デイサービス、ベッドレンタルなど)が利用できます。
結果通知が届いたら、まずは申請した窓口(地域包括支援センターなど)に電話をして、「結果が届きました」と伝えれば、次のステップ(ケアマネジャー探しなど)を案内してくれます。
まとめ|早めの相談で、心も時間もラクになる
介護保険の申請は、「まだ早いかも」と思う段階から動き出しておくのが理想です。 いざ親が倒れてから動くと、手続きと看病が重なり、家族の負担がとても大きくなってしまいます。
ケアマネジャーは**「制度の通訳」**です。 わからないこと、不安なことがあれば、どうぞ遠慮なく地域包括支援センターに相談してください。あなたやご家族が安心して暮らせるよう、一緒に考えるのが私たちの仕事です。

🫶 ゆるっとケア日和|腸活×介護×FPのヒント帳
今日も、あなたと大切な人の“ごきげんな日”が少し増えますように。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。
介護サービスの利用や制度の適用については、
お住まいの自治体や担当の専門職へご相談ください。



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