親の様子を見て、
「そろそろ介護が必要かもしれない」
そう感じ始めたとき、真っ先に浮かぶのが要介護認定や認定調査への不安ではないでしょうか。
- 認定調査で、何を聞かれるの?
- 「できる」って言ってしまったら不利になる?
- 要支援と要介護の違いがよくわからない
- もし非該当だったら、もう支援は受けられないの?
実際、認定調査の受け方ひとつで「困らないはずだった家族」が後悔してしまうケースを、ケアマネとして何度も見てきました。
この記事では、
**要介護認定の中でも特に不安が集中しやすい「認定調査」**に焦点をあてて、
- 認定調査でよくある勘違い
- 「できるって言っちゃった…」と後悔しやすい場面
- 要支援と要介護の違いを、感情面も含めてやさしく
- 非該当だったときに、次にできること
を、制度だけでなく“現場のリアル”を交えてお伝えします。
「まだ申請するか迷っている」
「調査が終わって、結果待ちで不安」
そんな段階の方にも、
**“今知っておくと安心できること”**をまとめています。
読み終えたとき、
「ひとりで抱え込まなくていいんだ」
そう思ってもらえたら嬉しいです。
① 認定調査でよくある勘違い

〜「頑張るほど不利になる」って本当?〜
はじめての認定調査を前に、多くのご家族がこんなふうに感じています。
- 「ちゃんとできているところを見せた方がいいのかな」
- 「できないって言ったら、親のプライドを傷つけないかな」
- 「失礼にならないよう、家族は口出ししない方がいい?」
でも実は、この“気遣い”が、後から後悔につながることが少なくありません。
認定調査は「テスト」ではありません
まず一番大切なことからお伝えします。
認定調査は、できる・できないを競うテストではありません。
「減点されないか」を心配する場ではないんです。
調査員さんが見ているのは
「どれだけ頑張れるか」ではなく、
**「普段の生活で、どれだけ困りごとがあるか」**です。
そのため、
- たまたま調子のいい日
- 来客モードで気が張っている状態
- 「迷惑をかけたくない」と無理をしている姿
こうした場面だけが伝わってしまうと、
本来必要な支援が見えにくくなってしまうことがあります。
「できる日」ではなく「普段」を見るのが調査
ケアマネとして立ち会っていて、よく感じるのがこのズレです。
ご本人は
「今日はできた」
「前はできてた」
と答えがち。
でも調査で大事なのは、
- 毎日安定してできているか
- 安全に、無理なく続けられているか
- できない日がどれくらいあるか
**“できるかどうか”より、“続けられているかどうか”**が見られています。
よくある勘違い①
「ちゃんとしているところを見せなきゃ」
✔ 実際によくある場面です。
- 杖を使えば歩けるのに、調査当日は使わない
- 本当は家では横になっている時間が長いのに、きちんと椅子に座る
- できない動作も「大丈夫」と言ってしまう
その結果、調査後に家族から
「いつもはあんな感じじゃないんです…」
と相談を受けることも少なくありません。
よくある勘違い②
「家族がフォローするのは失礼?」
これも、とても多い誤解です。
結論から言うと、
家族の補足は“失礼”ではありません。むしろ大切です。
特に、
- ご本人が困りごとを隠してしまうタイプ
- 記憶があいまいな場面がある
- 遠慮して「できる」と答えてしまう
こうした場合、
家族の一言が、生活のリアルを伝える鍵になります。
調査員さんも、
「ご家族の視点」を前提に話を聞いています。

よくある勘違い③
「本人の前で困りごとを言えない」
これも、家族として自然な気持ちです。
ただ、困りごとをまったく伝えられない場合は、
- 調査後に別で相談する
- 「補足としてお伝えしてもいいですか?」と一言添える
- メモを事前に用意して渡す
など、伝え方の選択肢はあります。
無理にその場で全部言う必要はありません。
ケアマネとして、現場でよく思うこと
調査後、ご家族からよく聞く言葉があります。
「あの時、もう少し正直に話せばよかった」
「頑張らせちゃったかもしれません」
でも、それは家族が悪いわけではありません。
それだけ、親を思っての行動だったからです。
だからこそ、
“頑張らせない準備”が、いちばんの優しさになることもあります。

② 「できるって言っちゃった…」はどうなる?
〜調査後に後悔しないために知っておきたいこと〜
認定調査が終わったあと、
ご家族からとても多く聞くのがこの言葉です。
「あの時、できるって言っちゃったんですけど…」
「本当は毎日じゃないのに…大丈夫でしょうか」
まず、いちばん最初にお伝えしたいことがあります。
一度の発言で、すべてが決まるわけではありません
安心してください。
調査中に「できる」と言ったからといって、それだけで認定が確定することはありません。
認定は、
- 認定調査の内容
- 主治医意見書
- 審査会での総合判断
これらを組み合わせて決まります。
調査での一言が“絶対”ではない、ということをまず覚えておいてください。
よくある「できる」発言例
現場で本当によく聞くのは、こんな言葉です。
- 「トイレ?一応できます」
- 「料理?簡単なものなら…」
- 「薬?飲めてます」
- 「歩けますよ(※壁や家具につかまりながら)」
ここで大切なのは、
“できる”の中身が人によって全然違うということ。
なぜ「できる」は不利になりやすいの?
調査では、基本的に
**「介助が必要かどうか」**が評価されます。
そのため、
- 時々しかできない
- 見守りがないと危ない
- 失敗や抜けが多い
こうした背景が伝わらず、
「自立してできる」と受け取られてしまうと、
支援が少ない判定につながることがあります。
特に多いのが、
本人は「昔できていた感覚」で答えている
家族は「今日はできているから」と見守ってしまう
このズレです。
じゃあ、もう取り返しがつかない?
いいえ。決してそんなことはありません。
状況に応じて、次のような選択肢があります。
- 認定結果を見てから、ケアマネや包括に相談する
- 状態と認定が合っていない場合は「区分変更申請」
- 明らかに実態と違う場合は「不服申立て」
- 生活状況が変わったら、再申請する
「一発勝負」ではない、ということをぜひ知っておいてください。
調査後にできる、大切な行動
もし調査後に
- 言い足りなかった
- 本当の生活が伝わっていない気がする
- 家族のフォローができなかった
そう感じたら、
その不安は、早めに相談先へ伝えて大丈夫です。
地域包括支援センターや担当ケアマネは、
こうした声を聞くことに慣れています。
「今さら…」と思わなくて大丈夫です。
ケアマネとして伝えたいこと
調査の場で「できる」と言ってしまうのは、
ご本人が必死に今までの自分を守ろうとしている証でもあります。
それを責める必要はありません。
大切なのは、
これからの生活を、無理なく続けられるかどうか。
調査はゴールではなく、
支援につなげるための通過点です。
③ 要支援と要介護の違いをやさしく

〜「思っていたのと違う」と感じたときに読んでほしい〜
認定結果を見て、こんな気持ちになるご家族はとても多いです。
- 「要支援って…軽いってこと?」
- 「正直、拍子抜けしました」
- 「これで本当に助けてもらえるのかな」
まず最初に、はっきりお伝えします。
要支援=軽い/要介護=重い、ではありません
制度上、要支援・要介護という区分はありますが、
これは“大変さの大小”を決めつけるものではありません。
見ているのは、
- 何ができないか、ではなく
- どんな場面で生活が不安定になるか
つまり、
**「困りごとの“量”」ではなく「困りごとの“質”」**が違うのです。
要支援で多い生活の困りごと
要支援と判定される方には、こんなケースがよくあります。
- 身体は動くけれど、転倒リスクが高い
- 家事が億劫で、生活リズムが乱れやすい
- 外出が減り、閉じこもりがち
- 服薬や金銭管理があいまいになってきた
「全部できないわけじゃない」
でも、
放っておくと崩れやすい状態です。
家族が感じやすい「拍子抜け」
ケアマネとしてよく聞くのが、こんな声です。
「もっと介護度が出ると思っていました」
「これだけ大変なのに、要支援なんですね…」
この“がっかり感”、感じていいんです。
戸惑っていいし、納得できなくて当然です。
それだけ、
家族が日々の大変さをちゃんと背負ってきたということだから。
本人のプライドとのズレも起きやすい
要支援の結果を見て、ご本人が
- 「ほら、まだ大丈夫でしょ」
- 「介護なんて必要ない」
と言うこともあります。
でもそれは、
「助けがいらない」ではなく「助け方が違う」だけ。
要支援でも、
- デイサービス
- 訪問介護
- 福祉用具
- 生活支援サービス
使えるものは、きちんとあります。
ケアマネとして伝えたい視点
要支援・要介護、
どちらが良い・悪いではありません。
大切なのは、
今の生活を“これ以上つらくしない”こと。
結果に戸惑ったら、
「この判定で、どんな支援が使えるのか」
そこから一緒に考えていけば大丈夫です。
④ 非該当だったとき、次にできること

〜「何も使えない」と思わなくて大丈夫〜
認定結果が「非該当」だったとき、
多くのご家族が一気に不安になります。
- 「やっぱり大したことなかったのかな」
- 「もう相談しちゃいけないのかな」
- 「全部、家族でやるしかないの?」
でも、ここで一番伝えたいことがあります。
非該当=困ってはいけない、ではありません
非該当は、
「今すぐ介護保険の対象ではない」という意味であって、
「支援が不要」という意味ではありません。
実際、
非該当でも生活のしづらさを抱えている方はたくさんいます。
もう一度、申請することはできる?
はい。できます。
- 状態が変わったとき
- 転倒や体調悪化があったとき
- 家族の負担が大きくなったとき
こうした変化があれば、
再申請はいつでも可能です。
「一度非該当だったから…」と遠慮する必要はありません。
介護保険以外の支援もたくさんあります
非該当でも、使える支援はあります。
- 地域包括支援センターでの継続相談
- 見守りサービス
- 配食サービス
- 地域のサロン・通いの場
- 民間サービスの情報提供
包括は、
「認定が出た人だけの場所」ではありません。
困りごとがある限り、相談していい場所です。
状態変化があったら、また動いていい
介護は、一直線ではありません。
昨日できていたことが、
今日できなくなることもあります。
だから、
- 今は非該当
- でも、この先はわからない
それでいいんです。
道は一つじゃない
ケアマネとして、最後に伝えたいのはこの言葉です。
道は、一つじゃありません。
介護保険だけが正解でもないし、
家族だけで抱える必要もありません。
「まだ対象じゃなかった」
それは、
“これから考える時間がある”というサインでもあります。
🚩 まとめ|認定調査は「評価」ではなく「相談の入口」
認定調査で大切なのは、
うまく答えることでも、良い結果を出すことでもありません。
これからの生活を、どう支えていくか。
そのための
「相談の入口」だと思ってください。
「ちゃんと伝えられなかったかも」と感じている方も、それは“失敗”ではありません。
そこから、もう一度相談していいというサインです。
🫶 ゆるっとケア日和|腸活×介護×FPのヒント帳
今日も、あなたと大切な人の“ごきげんな日”が少し増えますように。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。
介護サービスの利用や制度の適用については、
お住まいの自治体や担当の専門職へご相談ください。

コメント