認知症の親に合う施設の見分け方:見学で確認したい5つの視点

後悔しない施設えらびのヒント

認知症のあるご家族の施設探しで、一番不安なのは「ここで大切に扱ってもらえるだろうか」という点だと思います。「認知症対応可」というパンフレットの一文だけでは、実際の現場でどんなケアが行われているのかまでは分かりません。今回は、見学で確認したい具体的な視点を、「ユマニチュード」という認知症ケアの考え方も交えながらお伝えします。

ユマニチュードとは

ユマニチュードは、フランスで生まれた認知症ケアの技法で、「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つを基本の柱としています。目線を合わせて正面から見る、ケアの前に必ず声をかける、いきなり体をつかまず優しく触れる、可能な範囲で本人の「立つ力」を保つ——こうした一つひとつの関わり方によって、本人の不安や抵抗を減らし、落ち着いて過ごせる時間を増やすことを目指す考え方です。近年は研修や資格制度も整ってきていて、導入する施設も増えています。

なぜ「理念」より「現場への浸透」が大事なのか

ユマニチュードに限らず、認知症ケアの理念は、パンフレットの言葉としてはどの施設もきれいに書かれています。問題は、その理念が現場でどこまで実践されているかです。以前の記事(「ケアマネが見た施設選びで失敗した家族の実例3選」)でも触れましたが、理念自体は良くても、人手不足やスタッフの入れ替わりによって、現場では「なんとなく」の対応になってしまうケースは珍しくありません。だからこそ、見学の段階で「理念」ではなく「実践されている様子」を確認する視点が必要です。

見学・説明会で確認したいポイント

具体的には、次のような点を見学時に意識してみてください。

  • スタッフが入居者に声をかけてからケアを始めているか(いきなり体に触れていないか)
  • スタッフが入居者と話すとき、目線の高さを合わせているか
  • ユマニチュードの研修を受けたスタッフがどのくらいいるか、外部の認定資格を持つスタッフがいるか
  • 身体拘束をしない方針が、実際の記録や会議(カンファレンス)の中でどう運用されているか
  • 見学時、入居者の表情が穏やかかどうか(不安げな様子や、ぼんやりした様子が続いていないか)
  • スタッフの勤続年数や定着率(認知症ケアは経験の蓄積が特に重要な分野です)

一度の見学だけで全てを判断するのは難しいので、可能であれば時間帯を変えて複数回見学したり、デイサービスなど一部のサービスを先に利用してみて雰囲気を確認したりするのもおすすめです。

ユマニチュード以外の視点も持っておく

ユマニチュードは有効な技法のひとつですが、それだけが正解ではありません。「パーソン・センタード・ケア(その人らしさを中心に置くケアの考え方)」など、他のアプローチを大切にしている施設もあります。技法の名前にこだわりすぎず、「本人を人として尊重する関わりが、実際に行われているか」という視点で見ていただくのが一番大切です。

まとめ

認知症の親に合う施設を見分けるには、パンフレットの言葉ではなく、現場でのスタッフの関わり方そのものを見ることが欠かせません。声のかけ方、目線の高さ、スタッフの定着率——小さな観察の積み重ねが、後悔しない施設選びにつながります。


この記事を書いた人:ケアマネジャー歴20年・FP3級。居宅介護支援事業所で、日々ご家族の相談を受けています。


🫶 ゆるっとケア日和|腸活×介護×FPのヒント帳 今日も、あなたと大切な人の”ごきげんな日”が少し増えますように。

本記事は一般的な情報提供を目的としています。介護サービスの利用や制度の適用については、お住まいの自治体や担当の専門職へご相談ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました